出典:This Active Investment Fund Has Returned 18.2% Annually
過去10年間で最も良い収益率を記録したファンドの一つは、ウォール街の特別なヘッジファンドではなかった。 私募ファンドでもETFでもない。そのファンドであるファンドスミスエクイティ(Fundsmith Equity)は、テリー・スミス(Terry Smith)が運用するイギリス系の投資ファンドである。 イギリスで運用されているらかといって投資先が限られるわけではない。ファンドスミスは、全世界に投資するファンドである。現在の資金の67%をアメリカに投資しており、14%はイギリスに投資している。残りは、デンマークとフランスのような地域の株式に投資している。
※このファンドの詳細については、下記リンク参照
買収後、保有戦略
ファンドスミスの投資戦略は簡単だが、素晴らしい成果を出した。
このファンドの運用報告書によると、ファンドの目的は優秀で回復力のあるグローバル成長企業を、良い値段で自分達の資金のみで買収し、長期的に保有することである。
この方法で、ファンドスミスエクイティは、過去10年の間440%、年平均18.2%の収益率の成果を上げた。 運用報酬は1%未満である。
ファンドスミスが保有している上位10銘柄を見ると、スミスがどのような企業に投資しようとしているかが分かる。
ポートフォリオの約18%を占める上位2つの銘柄は、PayPalホールディングス(PYPL)とマイクロソフト(MSFT)である。他の上位保有銘柄には、Facebook(FB)、アイデックスラボラトリーズ株式会社(IDXX)とノボノルディスク(NOVO)となっている。
これらの企業は持続可能な競争優位性を持っており、さらに消費者が日常的に使用している製品を生産するといった企業である。
これはスミスが2020年の投資書簡で要約した投資プロセスの重要な原則である。
大体、私たちが投資しようとする企業の主要な資産は無形資産です。 無形資産の例としては、ブランド、著作権、特許権、ノウハウ、サービス、およびインストールベースの機器(メンテナンスが必要なため、顧客がベンダーに依存するしかない)、企業や個人に必要不可欠なソフトウェアシステムなど、いわゆるネットワーク効果です。 このような無形資産は、不動産、機械、装置、車などの有形資産と区別されます。
また、スミスは「何もしない」の投資スタイルを強調した。
私たちの戦略の第三の柱は、単純に「何もしないこと」です。 その中の一つが、ポートフォリオの回転を最小限に抑えることによって、過去一年の間のポートフォリオ転換を4.1%に下げられました。これは再び自発的取引で、私たちが使った費用をファンドの平均値の合計0.03%に減らすことができています(ファンドに参加し、返済に関連する非自発的な取引コストを除く)。私たちが保有している10個の銘柄のうち9個が2010年ファンドを運営してから共にしている銘柄です。
何もしないこと
スミスはウォーレン・バフェットのような他のバリュー投資家ほど有名ではないが、過去10年間に渡る彼の収益率は優良企業を探し保有して、企業たちが自分の道を進めるように放置する、「何もしない」戦略がどれだけ効果的なのかを示している。
一方、スミスを批判する人たちは過去1年間はコロナの影響で大きな成果を上げたと言うかもしれない。彼の上位銘柄の多くはパンデミック期間中にかなりの需要が高かったテック企業だからである。
それは事実ではあるかもしれないが、パンデミックはテック企業の競争優位性をさらに強化しただけだ。
なので今の高い株価はある程度調整局面になると予想できるが、スミスがそのような企業に魅了された理由である本質は変わらない。ポイントはルールである。スミスは保有銘柄を過去10年間、売却し利益を確定できるタイミングは何度もあったが、そうしなかった。そして、放置し続けた恩恵はすばらしい収益率で現れた。
他の投資家がこの戦略から学ぶべきことは、株式市場に関わる時間(time)が市場のタイミング(timing)を予測することより大事だということである。スミスがその教訓の証である。
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