【21Y4Q決算】メタフラットホームズ(Facebook)とペイパル(PayPal)の暴落 チャンス?危機か?
2022年の年初から米国株市場は激しい動きになった。FOMC発表からビックテック企業の業績発表への流れの中でフェイスブックから社名を変更したメタフラットホームズとペイパルが暴落した。両社のガイダンスミスによる暴落がトリガになり、ナスダックの全体的にも影響を及ぼした。
2月3日の決算発表後にメタフラットホームズの株価が22%も暴落した。時価総額が1000兆ドルを超えたビックテック企業が一日で20%以上も暴落することは本当に珍しいことである。
さらに、メタより一日前に業績発表をしたペイパルも25%に近く暴落した。しかしメタとペイパルの業績がここまで暴落するような業績だったか見てみよう。
ペイパル(Paypal)
まず、ペイパルの場合は第4四半期の業績はほぼコンセンサス通りの結果だった。EPSも売上もほぼコンセンサスと合致した。全体的に過去に比べてEPSが高くなったわけではなかったが、それほど下回ることもなかった。
そしてその他参考指標(決済額、キャッシュフロー、アクティブアカウント数)も昨年に比べて上昇しており、成長が続いていることが分かった。業績発表だけでは大きく目立つ問題はなかった。
メタフラットホームズ(Facebook)
メタは2021年の前年比37%の売上成長を記録し、470億ドルの営業利益を達成した。前期より収益性と売上は高まり、徐々に成長しているように見える。売上も昨年に比べても前期に比べて大きく増加していた。
しかし、なぜ投資家はこのメタの時価総額を2,300億ドルも落としたんだろう。
なぜ暴落したか
暴落した理由は企業が発表したガイダンスが原因である。企業の将来業績を予測するガイダンスが市場の期待値より下回ったことが問題だった。
簡単に言えば「私たちの会社は思ったより成長できないかもしれません」と発表したことになる。
まず、ペイパルの場合は売上のガイダンスがコンセンサスを下回り、将来加入者数は大きく予想値を下回った。これは、フィンテック業界の競争が激しくなったことによるもので、ペイパルの利益率の悪化やウォールマートとの契約終了も伴った結果である。
次に、メタの場合もガイダンスが市場予測値を下回った。次期の売上高は市場予測値を10%下回る270~290億ドルを発表した。また、MAU(月間アクティブユーザー数)とDAU(日々のアクティブユーザー数)も予想値を下回った。
また、メタの場合は以下のような問題を抱えている。
- アップルのプライバシーポリシーの変更:アップルがトラッキングに対するバージョンアップをした後、ターゲット広告が難しくなった。そのため、広告の効果が低下し、広告需要も減る可能性がある。
- TikTok:フェイスブックは特に若いユーザーをTikTokに奪われている。Facebookは初めてDAUが減少した。
- 研究開発費用:フェイスブックの仮想現実(AR/VR)事業部であるリアリティ・ラボで膨大な現金を消費しており、この傾向は当分続くものと見られる。
メタはなるべく早くメタバースを実現するために、膨大なお金を投資している(昨年だけで120億ドル)。 問題はメタバース事業がコア事業になるまでの期間である。株式市場の反応からすると投資家たちは待ちきれなかったかもしれない。