スーパーマーケットの窓辺に大きなチーズが並んでいることを想像してみよう。もしこのチーズの値段が上がれば、多くの人々が買えなくなるほど高くなることもあり得る。そうなった時、スーパー側はチーズを売り続けたいと思うし、消費者はチーズを少しでも買いたいと思う場合は、問題である。
この問題の解決策は、チーズをより小さく分割することである。そうすれば、より多くの人々が少しでも買えるようになり、たくさんほしい人は小さくなったチーズをたくさん買えば良いだけになる。
チーズの全体サイズはそのままで、販売数だけが多くなったイメージである。同じ考え方で株式分割にも適応できる。
チーズのように、株式も様々な単位で分けられる。一般的な分割は1:2、1:3、2:3等がある。2014年のAppleが実施した、1:7のように一般的ではない分割係数をとる場合もある。
企業が株式を分割する理由
もちろん、株式はチーズではない。
巨視的なトレンドと野性的な衝動が牽引する現実的な金融市場では、スーパーマーケットに並んでいる商品よりも複雑である。企業の株価が上がり続けてほしいのに、あえて株式を分割する理由は何だろうか?結果的に株価が低くなるのではないか?その答えとして、以下の具体的な理由があげられる。
1.流動性
上記のチーズの例のように、多くの投資家が買えなくなるほど、株価が上昇する場合がある。株式を分割すること(つまり、1株の株価を下げること)は、株式を購入できる投資家の総数を増やす効果的な方法になる。
2.投資家へのメッセージ
株式分割に関する発表は、企業が繁栄する前兆のシグナルであることが多い。ナスダック市場では、株式を分割した企業が市場全体よりも優れた成果を上げる、つまり市場に勝つことが過去の実績からわかる。これは企業が成長期に入りながら株式を分割することが多いという事実とそれに対する投資家の盛り上がりによるものと見られる。
3.資本コスト(取引コスト)の削減
株価が高すぎる株式は、低い株式よりも広いスプレッドを持っている。 スプレッド(売値と買値の差)が大きすぎると、投資家の純粋な利益が少なくなる。
4.指数基準を満たす
企業が特定の指数要件を満たすために株価を調整する具体的な事例がある。
一例として、有名な30種目からなるダウジョーンズ産業平均指数(DJIA)がある。ダウ指数は、株価加重方式で構成されているため、株価が高い企業ほど指数内で比重と影響力が大きくなるという意味である。Appleが2014年に1対7株式分割を断行した直後、株価が約650ドルから90ドルに落ちて、ダウ指数DJIAに編入された。
逆に、企業は株式を併合(マージ)することもできる。これは流通株式を減らし株価を高めることになる。株価下落の対策であるという恥は置いといて、企業は株価を一定レベル以上に維持するか、上場廃止されるリスクを避ける必要がある。
株式分割が頻繁に起こるが、避けられないものではない。
アルファベットは、2022年に株式分割を決定した最新の有名企業である。株式分割により、株価を約2,750ドルから140ドルに落とし、個人投資家がより簡単に購入できるようにすることが目標である。
逆に、バークシャー・ハサウェイは株式分割を一度もしたことがないことで有名である。 その結果、バークシャーA株(BRK.A)1株の価格は470,000ドルを超える。ウォーレン・バフェットは、株式分割は買収後保有する投資ポリシーに反することだと主張する。