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物価が10%上がるなら、給料も10%上げるべき? インフレと所得に対する偏見について

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最近、アメリカのCPI(消費者物価指数が前年比+8.5%と集計され、インフレーションに対してたくさん議論されており、個人の財政や資産に影響を及ぼしている。残念なことに、インフレが所得に与える影響に対して多くの人が間違って認識していることが1つある。それは以下のような主張である。

昨年より物価が8.5%上がって、会社の給料が8.5%より低く上がったなら、個人の購買力は昨年に比べて悪くなる

一見正しい主張にも見える。物価が8.5%上がれば、給料も8.5%上がらなきゃ去年と同じ生活水準が保てないか?本当はそうではない。上記主張には2つの問題がある。

問題の一つ目は、この主張は個人が体感するインフレがCPI指数と同じであると仮定している。しかし、本当はそうではない。一人一人消費するものが異なるため、私たちはそれぞれ自分ののインフレを持っている。例えば、車がない人であれば、ガソリン代が上がったことに対する影響は少ないだろう。しかし、この主張はこのようなことは考慮せず、個人のインフレがCPIデータと一致すると仮定していることが一つ目の問題である。

二つ目の問題は、「個人の給料」=「個人の支出」であると仮定している。年収が年間支出より多ければ(すなわち、給料の一部を貯金するなら)インフレよりも少ない賃上げ率でも、生活水準が保てることになる。具体的な例を見てみよう。

昨年、税引後の年収1000万円で、その内500万円を生活費として支出したAさんがいるしよう。インフレによって今年の物価が10%上がったならば、同じ商品を購入するためには、昨年より50万円もっと支出が増えるため、総支出は550万円になる。これを相殺するためには、年収はいくら上がらないといけないか。10%ではなく5%の賃上げで「年収(1050万)ー支出(550万)=500万円」で昨年と同じ損益分岐点になる。インフレの半分の数値である。

この単純なAさんの例は、貯蓄をしている人の場合、インフレが10%上がっても年収が10%上げられなくてもよい理由になる。実際、Aさんの場合だと5%以上の賃上げであれば、インフレが10%でもより良い暮らしができる。その理由は5%の賃上げ分は生活を昨年と同じ水準に保つための費用になり(追加の50万円)、残りの賃上げ分は純粋に余るお金になるからである。

結果的に、インフレと賃上げにおいて最も重要なことは、所得に対する支出、そしてそのあまりである貯蓄率である。もし税引後の収入が支出と完全に一致する場合(つまり、貯蓄できるお金が0の場合)は、同じ生活水準を維持するためにはインフレと同じ比率で収入が増えなければならない。しかし、貯蓄をしているなら、給料の賃上げ率がインフレよりも少なくても生活水準を保つための影響は少ない。

次の簡単な公式を使って、インフレを相殺するために必要な収入(賃上げ率)を正確に計算できる。

 

必要収入(賃上げ率)(%) = インフレ(%) – [貯蓄率(%) × インフレ(%)]

Aさんの場合、インフレは10%で、貯蓄率は50%だった。したがって:

必要収入(賃上げ率)(%) = 10% – (50% × 10%)

必要収入(賃上げ率)(%) = 10% – 5%

必要収入(賃上げ率)(%) = 5%

この公式によれば、貯蓄率が0%の場合、インフレと同じ賃上げが必要であることが分かる。

もっとも重要なことは、貯蓄率が低い人ほどインフレの影響をより受けてしまうという残念な結論である。そして、貯蓄率が低い人は収入が少ない人の可能性が高いので、インフレは貧しい人に不公平な悪い影響を及ぼすという意味である。

また、この結論からもう一歩踏み込むと、貧しい人ほど収入を生み出す資産(不労所得)を所有しない傾向があるということがさらにインフレの影響を受けやすくなることに気づける。株式や不動産などの収入を生み出す資産は、インフレが高い期間中に上昇する傾向があるが、資産をあまり持っていない人は、この期間に恩恵を受けられない。

したがって、貧しい人は低い収入によってインフレの影響を受けやすいだけでなく、資産がないことからも影響を受けてしまう。高収入者とお金持ちがほとんど無視している二重の苦痛である。

 

それでは、このような考察から私たちが何を気づくべきだろう。インフレから個人の財政を守るためには、次のようなアクションが必要である。

  1.  貯蓄率を高める
  2. インフレによって上昇する傾向がある収入を生み出す資産を所有する

貯蓄率が高いと、将来の物価変動を相殺するために必要な収入(賃上げ率)が少なくなる。そのため、将来発生する可能性があるインフレに対するリスクヘッジになる。そして、株式や不動産などの収入を生み出す資産を所有することで、自分の資産価値を(ある程度)インフレに追いつかせられる。

このような結論を考慮すると、インフレの影響を最も受けない人は「節約する投資家」であろう。節約のやりすぎも望ましくないかもしれないが、インフレーションと戦うためにはもっとも望ましい習慣である。なぜなら、そもそも消費生活をあまりしないから、物の値段をあまり心配しなくて良い。

もちろん、おなじ歯ブラシをずっと使ったり、洗濯機を自分で作らなければならないという意味ではないが、インフレが心配なら短期的にはお金をなるべく使わないことが最もいい選択しである。長期的には、所得を増やして、時間と共に価値が上がる収入を生み出す資産を持つことを推奨する。

 

出典:

You've Been Thinking About Inflation All Wrong – Of Dollars And Data

 

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