「下値で拾う」ことは戦略じゃない!
下値で拾う(buy the dip、下値拾い)とは、高値から最近の平均値より大きく下落した時など、ある基準を定めておき、その条件に合う株を買うことである。
株価が下落したときに買うことで、言葉だけだと賢く成功しやすい戦略に見える。
株を安く買うことを好まない投資家はない。しかし罠がある。
「下値拾い」戦略は、今後のマーケットが上昇するという前提条件がある。
この戦略は、株価が上昇傾向であり、さらに上昇する前に調整が入ったときに人気がある戦略だ。
Googleトレンドによると、直近5年間で関連検索が確実に増加した。
非常に長い強気相場を続けており、投資家が大きな自信を持っているとき、このような戦略が流行ることは偶然じゃない。
そして、投資に対して、過信することがどんな結果になるかは言うまでもない。
投資戦略には簡単な原則に従う必要がある。
単純に過去に効果があって、今でも有効な戦略が望ましい。
数十冊の投資書籍を読んでも、「下値で拾う」ことを投資戦略として定義していない。
このような戦略はYouTubeやネット掲示板で有効なアイデアである。
この戦略の根本的に間違っている。
投資において、株を買うと判断する時に、株価は最後に考慮すべき要因である。
だが、「下値で拾う」戦略は最初に株価にフォーカスしている。
企業に投資判断をするためには、まず、ファンダメンタルを基準に該当企業が「投資可能」かどうかを調べてから、「いま」良い投資対象であるかを調べなければならない。
優良企業であれば投資は可能ではあるが、株価が適正価値より高ければ良い投資対象ではない。
「下値で拾う」というのは、短期的な人間の心理による株価の変動に基づくものだ。
そしてその行為は投資ではなくギャンブルに近い。
株価が下落したら、「なぜ下落したか」、そして「下落が正当なのか」を把握しなければならない。
経営陣がガイダンスを下げているか。
企業の売上や利益に影響する法律改正が行われたか?
それとも、アナリストが自分の顧客のために安く購入するために、変な噂を流しているか?
株価下落の理由と正当性を知ってこそ、正しく判断することができる。
2010年以降に投資を始めた投資家は、株価がどこまで落ちるか分からないだろう。
そして20%の下落がかなり大きいと思う傾向がある。
株価が安いという理由だけで株を購入することは落ちてくるナイフを掴もうとする危険なことである。
youtuberたちがこのような戦略を広げる理由は、視聴者が比較的に若くて投資歴が浅いから説得されるからだ。
下値で拾うことは、どこが下値であるか知っていたら効果がある
そのため、ファンダメンタルに基づいて投資し、自分なりに調査を行うことが常に重要である。
会社がまだ(資本的に)健全な状態にあるかどうかを確認することは、強力な「下値で拾う」戦略になる。
投資家がどの下値を狙い、いつ購入するかを正しく判断できれば、株価の急激な下落は投資チャンスとなる。
1 つの指標だけで投資決定を行うのではなく、「下値で拾う」こともこのルールの例外ではないことを忘れてはいけない。
その上、機会費用も高い。
大きな暴落が来たら投資をするために現金を待っていると言う人々も多い。
そのような人たちは気に入った株が上昇している時に、投資せず現金化している。
その間、株主は配当金を受け取り、資産が増やしている。
その大暴落を待っている人達はただの傍観者である。
そして、いざ市場が暴落すると、まだ暴落は続くと考えて動けない。
数か月後に新たな上昇トレンドが始まっていることに気づき、再び「下落」することを待ちます。
投資する完璧なタイミングを待つことより、良い企業を探さなければならない。
「下値で拾う」のもう一つの問題は、投資家に簡単に儲かる近道に誘うことである。 特にインデックスファンドに関しては、このような戦略が簡単であるため、不真面目な投資家にとっては良い解決策に見える。
しかし残念ながら、ほとんどの人は不真面目な人なので、努力せず儲かる方法を好む。
要するに、
下値で拾うことは企業の価値に対する投資ではない。
ただの株価だけでする判断にすぎない。
投資というのは価値があると判断できるときに買わなければならない。
毎回、下値で拾える可能性は低い。
出典:"Buy the dip" is not a strategy. - The Onveston Letter