2020~2022年の株式市場のサイクルが教えてくれた5つの投資教訓
今の市場の状況において、これからまた何が起こるか投資家たちは心配している。しかし、2020年から2022年の間、市場がどれほど荒れていたかを客観的に振り返ることも大事である。
2020年3月は、1929年の世界恐慌以来、最もボラティリティが高い月だった。
2020年3月、S&P 500指数は現代株式市場の歴史上、最も短期間で落ちた。
それ以後、テック部門の上昇は誰も止められないように思えた。
しかし今は、誰も手を出せないと思っている。
新型コロナの大流行で株式市場が崩壊すると、多くの銘柄が50~60%下落した。その後4~5倍上昇したが、再び70~90%暴落した。
今年は株式と債券が同時にベアマーケットに入った。
既存の金融システムを革新するように見えていた仮想通貨は、生命維持装置によってギリギリ延命しているようになっている。
新型コロナの大流行中、お金はあるけどやることがない数百万人の新しい個人投資家が証券口座を開設した。その人達はネット掲示板を読んで企業のファンダメンタル分析をしたと勘違いしていた。
不動産業界は史上最高の年を過ごせた。しかし、今は住宅担保ローンの金利は半年も経たない内に2倍になってしまった。
歴史の話だったようなインフレーションが、今は何よりも大事な心配事になってしまった。
他にもここ数年間、市場では奇妙なことだらけだった。
2020〜2022年の間に市場で起こったことから得られる投資教訓を5つにまとめた。
教訓1.投機によるバブルは昔から存在している
現代において、すべての技術革新には1つの共通点がある。
人々にこれからの世の中がどのように変わるかを考えさせることによって、金融市場にバブルを作り出すことである。
毎回、今回は違うと思ってしまう。
SNSによる早い情報展開は投機を増幅させるメガホンの役割をする。
しかし、投機は今になって始まったことではない。
伝説の相場師と呼ばれたジェシー・リバーモアはこう述べた。
私が早く学んだ教訓は、ウォール街において、新しいものはないということです。投機ほど古いものもありません。今日、株式市場で起こるすべてのことは過去にも起こったことで、今後も起こります。
歴史上、すべての強気相場で欲と不安(FOMO)は決まり事である。
そして、すべての強気相場には終わりがある。
2. すべてにはサイクルがある。
2020年4月、原油価格がマイナスとなった。
この歴史的な日まで5年間、エネルギー部門全体が50%下落していた。
同じ5年間、S&P 500指数は50%以上上昇し、ナスダック100指数は合計110%以上上昇した。
しかし、その後、エネルギー部門はほぼ150%上昇し、S&P 500とナスダック100指数はそれぞれ約30%上昇した。
投資では最新の流行に流されやすいが、金融市場においては、常にそして永遠に続くものはない。
すべての資産、戦略、セクター(業界)そして投資家は、時には厳しい状況で苦しむこともある。
立派な企業でもバブル時期に投資すればひどい目に合うし、
悪い企業でも安い時期に投資すれば立派な成果を上げられる。
株式市場ほど空を飛べる時期があれば、墜落が保証されるところもないし
今はその完璧な例である。
常にそして永遠に続くものはない。
3. 誰に財政的アドバイスを聞いても気を付けなければならない。
有名ドラマ、ティン・ウルフでピンストック・コーチは3つのルールを守った。
- 少なくとも12時間は睡眠をとる。
- 名前が都市名と同じ人とはギャンブルをしない。
- 体に刀のタトゥーを入れている女性には絶対に近づかない。
ここに4つ目のルールを付け加えるとすると、
「金持ちや有名人の財政的アドバイスは絶対に聞かない」である
偽のミームコインを作って決済手段にしようとした金持ちたちがいた。
今、そのコインは高値から90%も下がっている。
無駄なNFTや新しい仮想通貨の価格を引き上げた有名人もいた。
自分はほとんど投資せず自分の名前を武器に、SPACをプロモーションしたプロ選手と投資家もいた。
ミーム株をプロモーションして株価を引き上げたインフルエンサーもいた。
今、彼らの中で誰も自分の発言と行動に責任を負わずに、状況はさらに悪くなった。
金持ちと有名人はすでに金持ちである。
彼らの財政的なアドバイスが正しければ、より有名になるだろう。
もし間違ったとしても、まだ金持ちであり、他人のことなんてあまり気にしない。
単純に有名でフォロワーが多いからといって、
その人の財政的アドバイスをそのまましたがってはならない。
他人の財政的なアドバイスを聞く前に、自分がやるべきことをしなければならない。
4. 投資に成功するためにはベアマーケットで生き残らなければならない
バリュー投資の父と呼ばれるベンジャミン・グレアムは、投資家が行う最も危険な失敗は「知らない間に投機習慣が身につくこと」だと述べた。
ブルマーケットではレバレッジを使って収益を倍にすることがかっこいいかもしれない。しかし、ベアマーケットでは自殺行為になる。
ブルマーケットで上がる銘柄を選ぶのはだれでもできるが、ベアマーケットになると津波となって襲ってくる。
投資において流行を追いかけることはホットポテトゲームであり、最終的に熱いじゃがいもを手に持ったままどうにもならない状況に追い込まれてしまう。
投機はブルマーケットのみ通用する戦略である。
投資に成功するには、長期的に生き残れるバランス、耐久性、常識を組み合わせた計画が必要である。そして、その「長期的に」という言葉には、ブルマーケットとベアマーケットのいずれも含まれる。
5. 投資は難しい!
もし、2020年下期に投資が簡単だと感じられた人がいれば、その理由は本当に簡単だったからである。
決して投資は簡単ではない。
他の人が一晩で金持ちになる姿を見て、何もしないことは決して簡単なではない。
そして一生をかけて貯蓄したお金が、たった数日で20~30%減ってしまうことを見守ることも簡単ではない。
金利上昇、40年ぶりのインフレーション、FRBが景気後退を起こす可能性がある状況で、投資することも簡単ではない。
急落とボラティリティにほとんど影響を受けずに年平均6~7%の収益率を上げられる安全な資産があれば、
投資家としての生活ははるかに楽だろう。
残念ながら、そのような資産はない。
時にはパニックになって売却することなく、
投資家として損失を見守らなければならない。
時には周りのだれかか無謀な賭けで金持ちになる姿を見守らなければならない。
そして、いつも何かが起こるかもしれないという膨大な不確実性に対処しなければならない。
今の状況においては、
いつもより投資が難しいと思うかもしれないが、
おそらく投資は常に難しい。
出典:Timeless Lessons From the 2020-2022 Cycle