アメ株クラブ

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テスラはどのようなリスクを抱えている?(10-k報告書)

参照:tsla-10k_20201231.htm

 

2020年一番注目されていた企業であるテスラとそのCEOであるイーロン・マスクが今後EV業界だけではなく、車産業や世界経済に与える影響はどんどん大きくなりそうです。その中で、テスラが認識している自社のリスクはどのようなものがあるか確認してみます。

 

テスラの4大リスク

テスラは10K報告書で自社のリスクを4つのカテゴリーに分けています。それぞれのカテゴリは以下の通りです。

  1. 企業の成長に関するリスク
  2. 企業運営と営業に関するリスク
  3. 法的・規制のリスク
  4. 株に関するリスク

 それぞれのリスクについて簡単にまとめてみました。(リスクの中で、あまり重要でないと思われる要素は省略しています。)

 

企業の成長に関連するリスク

新型コロナによるリスク

テスラも新型コロナによる打撃は避けられなかった。一部の工場をはしばらくシャットダウンをしたし、製品の生産に支障が生じるリスクがある。もちろんテスラだけでなく、新型コロナによる世界経済の問題、そしてサプライヤの問題に起因する部品需給の問題などが発生するリスクもある。

一方、コロナ過の中で広まったリモートワークや電子決済等のニューノーマル。そしてその中で増えた個人的な電子製品の需要が増えて、世界的な半導体の供給不足が起きている。これと自動車産は密に影響を与えるており、 FSDチップからECU等、数々の車両用半導体を必要とするテスラにも大きな問題になるかもしれない。 

 

製品の生産の遅れのリスク 

過去にテスラはモデル3を生成した際に、思ったより生産が遅れる「生産地獄」を経験したことがある。また同じような問題が発生する可能性がある。

ただし、複数の工場が建設されており、ギガプレスなどの製造技術革新が着実に行われている今の状況では、前のような「生産地獄」リスクが起こることは少ないかもしれない。

 

予想外に電気自動車市場が低成長するリスク(低需要)

電気自動車市場があまり成長しないリスクがある。つまり、期待ほど需要が増加しない可能性がある。

ただし、バイデン政権は政府機関の車を電気自動車に変えるよう指示しており、電気自動車の需要はしばらく増える可能性が高い。

 

 供給リスクに起因する生産支障

全世界を対象としたテスラ車の供給が効率的に行われない可能性がある。

2〜3年以内に、ヨーロッパとインド、北米、アジア全域に渡ってギガファクトリーが完成され予定で、生産及び出荷の遅れに対するリスクは低くなる可能性がある。

 

新規工場の遅延及び予想より低い生産量

 一方、現在建設中のギガベルリン・テキサスの遅れ、そして思ったほど追いつけない生産量もリスク要因である。

すでに多くのアナリストが21年の生産予定として100万台まで予想している中、ギガベルリン・テキサスが軌道に乗らなければ「期待値を下回る」問題につながる可能性がある。

 

バッテリーの供給とコスト管理

 バッテリーの供給と生産コストと関連リスクである。

 現在テスラは、パナソニック、LG化学など、一部の業者からバッテリーセルを仕入れている。そして、これから世界的なバッテリーの供給不足が起こると予測されている状況である。

テスラが十分なバッテリーセルを仕入れられなかったり、コスト管理に失敗すると、大きな問題につながる。

そのため、バッテリーデーでも発表したように、テスラもバッテリーセルの生産設備を備えている。

 

激しくなる競争

電気自動車市場はますます競争が激しくなっている。

既存の内燃機関車会社が電気自動車市場に参入して、アップルのようなテック企業も新たに参入する可能性が高い。

このような競争は電気自動車市場が大きくなるというメリットもある。一番の問題はテスラが電気自動車業界で優位性を失うことだが、まだ電気自動車市場でテスラの地位は硬い。

 

企業運営と営業に関するリスク 

リチウムイオン電池の製造リスク

 現在テスラのバッテリーセルの多くは、ギガネバダにあるパナソニックで生産されている。

ただし、この生産に支障が生じる場合には、これは供給とテスラの収益全体の問題になると強調している。

テスラにとってバッテリーは欠かせない存在である。自社のバッテリーセル生産工程を迅速に拡充させ、仕入れ先も多様化することでリスク回避する予定である。

 

事業拡大の過程で発生する可能性のある国際問題

テスラが進出する国がどんどん増えており、国際関係の問題も重要となる。そして、その分リスクも大きくなる。中国リスクが代表的である。

 

製品の欠陥のリスク

テスラにとって製品の欠陥とすれば一番は自動運転ソフトウェアの問題とバッテリーの問題がある。

 

テスラの顧客の信頼悪化

 テスラは顧客と信頼関係が非常に高い企業である。

技術的な問題、もしくは長期的な成長に関する問題で信頼を失うと大きな問題になり、株価も暴落する可能性があると注意している。

 

有能な従業員の維持

 テスラのように急速に成長しているテック企業は有能な人材の存在は必須である。しかし、このような人材を確保するのに失敗した場合には、すぐに競争力悪化につながり、企業の価値も下がる。

 

高いCEOへの依存

 テスラはイーロン・マスクのイメージが強く、株主の中にはイーロン・マスクという人に投資した投資家も多い。

というのはイーロン・マスクの身に何かあった場合にテスラにも多大なダメージになる。

 

サイバー攻撃のリスク(情報セキュリティ)

完全自動運転向けソフトウェア「FSD」をはじめにソフトウェアはテスラの重要な価値である。

テスラに致命的なハッキングや技術流出などが発生した場合は事故や災難にもつながる可能性がある。技術流出による競争力低下は言うまでもない。

 

リコールのリスク

 突然発生する可能性のあるリコールも重要なリスク要因である。実際、最近のリコール問題が発生している。

ただしOTAサービスを通じてほとんどの問題は簡単に解決できるため、他の企業よりリスクは低いと見られる。

 

キャッシュフローの悪化リスク

負債などの問題によりキャッシュフローが悪化するリスクである。

ただし有償増資で莫大な現金を確保しており余剰キャッシュフローも良いためリスクは高くない。

 

仮想通貨の購入(ビットコイン

 テスラは最近1.5B規模のビットコインを購入している。

あんまりにも高い変動性を持つ資産であるため、これに対するリスクある。

ただし、1.5Bは現在のテスラにとって大した金額ではない。

 

自然災害や伝染病などのリスク

新型コロナのような自然災害や地震が多発するカリフォルニア(フリーモント工場)地域など、どんなことだって起こり得る。

 

法的規制リスク

政府のインセンティブ政策による需要変動

まだ電気自動車市場は、政府のインセンティブ補助金)の恩恵を受けている。

政府のインセンティブ政策に変化が生じ、補助金が減ったりなくなれば、需要が減る可能性がある。

ただし、米国内で補助金の問題は解決されたため、これに対するリスクは、しばらくは大きな問題にはならないと思われる。

 

企業の営業に不利な法的規制

 そのほか、各国政府の法的規制もテスラのリスク要因の一つである。

これは特に自動運転とFSDが該当する。2021年に自動運転レベル5を達成しても、世界中で法律的に許可されなければ意味がない。

テスラの事業で自動運転が占める割合がますます大きくなるほど、法的規制は非常に重要なリスクになる。

 

車両の直接販売のリスク

テスラは既存の車会社とは異なり、ディーラーシップなく、オンラインとオフラインの売り場を介して直接販売する方式である。

しかし、いくつかの国がこれに対して規制をかけて、必ずディーラーシップを介して自国で販売できるようにする可能性もある。

 

株式のリスク 

高株価変動

最初は高い株の変動性である。S&P 500編入以来、少し解消されたもののまだテスラの変動性は高い。そのため、テスラは今の株価が必ず維持できない可能性があることを強調している。

 

期待値下回るによる株価下落

コンセンサスの期待を下回る業績により、株価下落が発生する可能性がある。このリスクは、テスラだけでなくどの会社でもありえることである。

ただし、テスラの現在の株価が将来への期待がすでに反映されているため、予想よりも低い業績に対する市場の反応は他の企業よりも大きい可能性がある。

 

イーロン・マスクの信用問題

イーロン・マスクの個人の債務の返済等の信用問題により保有しているテスラの株を強制的に処分するリスクもある。

ただし、イーロン・マスクは世界1位の金持ちであり、テスラ以外にも複数の会社のCEOを務めている。そんなに気にするほどのリスクではない。

 

 

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