アメ株クラブ

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テスラの戦略のキーは電気自動車ではなく充電ステーション

原文:How Tesla’s Charging Stations Left Other Manufacturers in the Dust

過去5年間、主要車会社は電気自動車に膨大な投資をしてきた。フォルクスワーゲンは2025年までに80種類の車種の電気自動車を生産し、2030年までには全車種の電気自動車バージョンを発表すると宣言している。同じくGMは2023年までに20種類の電気自動車モデルが道路を走るようにするプランを発表している。それだけではなく、ブルームバーグNEF(New Energy Finance)によると、2022年で電気自動車の車種は500種類以上になると予測している。

ただし、数十億ドル相当の投資にも関わらず、電気自動車と同じ意味になってしまった業界のトップであるテスラには及ばない。この実績はすごいことである。年間売上1000億ドル以上で製造専門性と市場シェア率もある既存車会社が電気自動車市場に目を向けるなら、だれでも勝てないと予想していたからだ。 

アウディのe-tronGMビュイック、キャデラック、そしてシボレーから発売された魅力的な電気自動車よりも消費者がまだテスラを選択する理由はシンプルである。それはテスラで長距離運転をするときに簡単に充電所を見つけられると確信するからだ。既存の自動車メーカーはまだ完璧な電気自動車を作ることに没頭していることに対し、テスラは消費者が運転する際に直面する重要な問題を解決しようと電気自動車システム全体を悩んでいる。 

プラットフォームとしての自動車

自動車は走行する時に価値を創出するが、そのためには燃料補給が必要である。ガソリン車やトラックメーカーは、これを心配する必要はない。ガソリンスタンドは、米国だけで16万か所以上があり、またアクセスも容易である。したがって、彼らは製品、価格、流通、プロモーションなどのマーケティングの基本的な要素を中心に戦略を立てた。品質が良い乗用車やトラックを製造し、大々的に広告し、妥当な価格で適切な市場に販売すれは、製品は売れるという考えだ。 

しかし、電気自動車には他の要素を考慮する必要がある。電気自動車充電所、すなわち急速充電設備はまだ初期段階で、アメリカに4000箇所しかないのが現状だ。また利用可能な充電ネットワークは、所有権と技術によって互換性が決まる。テスラの次に大きいネットワークは、テスラの10%の規模しかない。テスラを購入しなければ急速充電ステーションの利用が保証された走行経路の選択肢がほとんどなくなる。 

したがって、電気自動車は両面のプラットフォーム製品である。つまり、会社の立場では多数の顧客基盤が必要で、消費者の立場では地理的に分散された急速充電ステーションという大規模なネットワークが必要である。電気自動車を販売するためには、強力な充電ネットワークが必須不可欠である。しかし、大規模な充電ネットワークの構築に投資することは大規模のユーザーベースとその充電所に対する需要がある場合にのみ、合理的だ。テスラはそのようなネットワークを持っているが、他の会社のネットワークはまだ整っていない。なぜこのようなことが起きたか?

ネットワークが必要なプラットフォーム

日産は、早くて比較的に安いリーフ(Leaf)で電気自動車市場の初期にリードした。日産は、2011年から2014年までは最もよく売れた電気自動車だった。このような初期成果にもかかわらず、日産は急速充電ネットワークを提供することに失敗し、消費者は車種に関係なくすべての電気自動車が利用できる、数少ない共同充電ステーションに依存することになった。 

テスラのアプローチは、まったく異なっていた。彼らはロードスターRoadster)という製品のおかげで順調にスタートできた。そして、2012年モデルSのリリースしてから2013年から2015年までで約1年程度の待機期間があった。電気自動車をサポートするために、テスラは全国に渡って独自ネットワークを構築した。テスラは、初期に車を数千台しか売れなかったのにも関わらず、巨大なネットワークを構築した。これで購入者の「走行範囲不安」問題を解決した。つまり、テスラの購入を検討している人は誰もが充電については心配する必要がなくなった。

既存の自動車メーカーは、日産のアプローチと同じように良い電気自動車の製造に重点を置いて投資している。しかし、想像してみよう。個別的には長距離走行が不可能な自動車の生産に数百万ドルを投資する代わりに、アウディGM・フォード・そして残りメーカがそれぞれ10億ドルずつ集めて、急速充電ネットワークを構築したらどうだろう。北米でその金額であれば、10個の充電ブースがある充電所を約1000カ所立てられる。充電ネットワークがそれぐらい規模で整えれば、そして適材適所に配置すれば購入者は十分な信頼性を持てるし、充電ネットワークは考慮せず、自動車の特徴のみで車を選択できるようになるだろう。そうすれば、企業は一定規模の販売量に到達できて、コストを下げることができ、最終的には、電気自動車会社としてテスラのライバルになれる。 

プラットフォームのメリット

テスラのように独自プラットフォーム戦略上で、プラットフォームの所有者は既に確保した車の顧客基盤と充電ステーションのネットワークという市場の両方を調整できるようになります。充電ネットワークを所有しているので、テスラは充電は無料にし車のみで利益を得るなどの価格方式、充電ステーションの数、新車発売のタイミング、充電所の位置などを選択できる。 

このような選択をするときに、テスラは全体的な経営戦略に加えて、購入者がどこ居て、どこで運転しているなどの詳細な情報を反映できます。興味深いことは、まだ一台の車も売っていない新生会社であるリヴィアン(Rivian)もテスラのような独自充電ネットワークを構築している。リヴィアンは充電所を主要な高速道路とキャンプ場の間に分散させているが、これは同社がアドベンチャー用の電気自動車に重点を置いていることを考慮すれば完璧な戦略である。 

自動車メーカは新しい電気自動車のデザインと生産に莫大な投資をする前に、テスラの戦略を見習って充電ネットワークに注力するか、少なくともその二つを並行するのが良い。実際にネットワークを構築する必要はないかもしれない。代わりに充電所として活用できるネットワークを持つ会社と協力すること方法もある。例えば、従来の化石燃料エネルギー企業は、最終的には足が縛られるガソリンスタンドという資産を持っているので、そのようなガソリンスタンドを電気自動車の目的に合わせて作り変えることもできる。 

もちろん、ネットワークに集中することはリスクもある。ゼロからネットワークを構築することは些細な問題ではないし、潜在的なパートナーがいずれかのメーカーと特選的な関係を結ぶ確かではない。メーカーの立場としては、他のメーカーより先手を打つためには独占的な関係が必要になる。しかし、ネットワークへ投資すると電気自動車市場で優位になる可能性は明らかに高い。少なくとも今までの根拠によると自動車に集中すると優位に立てる可能性はほとんどない。 

今後の展望

テスラ自体がビッグテック(Big Tech)プラットフォーム戦略に専念しているのは明らかである。現在、新しい自律走行機能に対するテスラのビジネスモデルは、製品の価格を付ける典型的な方式である。つまり、1万ドルの追加料金を一度課すことだ。しかし、テスラは自律走行を毎月利用料金をもらうサービスに移行する予定である。この戦略は自動車をサービスプラットフォームとして新たに定義する。 

そのようなビジネスモデルを適用すると、テスラは付加的な利益を得ることになる。それは完全自律走行車のために必要なマシンラーニングアルゴリズムの訓練データを収集できるようになることだ。そうなれば、テスラは次世代の自動車の競争で決定的優位を占めることになる。充電ネットワークの競争に関しては、もし他の企業が代替充電所の構築を真剣に考慮するとなると、テスラは独自のネットワークを開放すると予想される。独自のネットワークを閉鎖的に運営することのメリットがなくなるからだ。テスラは、新しいパートナーの接続を許可する可能性にを否定していないため、実際にそのような開放の初期の兆候が見えている。 

第2のテスラを目指す企業は、自分たちがなぜ遅れているかを深く検討する必要がある。それは車を作る方法についての知識が不足しているからではない。多数の既存の車メーカは100年以上も車を作ってきた。自動車製造ではなくコアインフラ、すなわち消費者が新電気自動車を試せる環境である充電ネットワークに注力しなければならない。一度そうた後に、自律走行車を可能にし、車を製品ではなくサービスとして移行させてくれる車データの制御のような次のステップに進められる。

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